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甲状腺の病気は、2つに大別されます。
1つは、甲状腺のホルモンの分泌にかかわる病気、もう1つは甲状腺に腫瘍(できもの)ができる病気です。
甲状腺ホルモンが適切な量に調整できないと様々な症状が現れます。甲状腺ホルモンが血中に多量に存在する状態を甲状腺中毒症といいます。
一般にはあまり使われない用語で難しく感じるかもしれませんが、“アルコール中毒”は“血中アルコールが多すぎる”とイメージすれば、“甲状腺中毒症”では“血中の甲状腺ホルモンが多すぎる”ことがイメージできるでしょうか。
甲状腺中毒症の原因には二つあります。
一つは甲状腺が働きすぎて甲状腺ホルモンが多量に分泌されている状態で、甲状腺機能亢進症と呼ばれます。
甲状腺機能亢進症を来す代表的な病気はバセドウ病で、新陳代謝が活発になりすぎるため心臓がドキドキする、汗を大量にかく、下痢をする、イライラするなどの様々な症状があらわれます。
もう一つは、甲状腺が壊れて中から甲状腺ホルモンがあふれ出す病気があり、破壊性甲状腺炎と呼ばれます。
破壊性甲状腺炎には、無痛性甲状腺炎や亜急性甲状腺炎、産後甲状腺炎などが含まれます。
甲状腺機能亢進症を来すバセドウ病も、破壊性甲状腺炎を来す疾患も血液検査をおこなうと甲状腺ホルモンが多量に存在しています。
しかしこの二つの病気は“甲状腺が働きすぎる病気”と“甲状腺が壊れて働いていない病気”であり治療は全く異なります。
甲状腺の働きが足りず甲状腺ホルモンの分泌が不足している状態は、甲状腺機能低下症と呼ばれます。甲状腺機能低下症を来す病気で有名なものとしては橋本病が挙げられます。
甲状腺ホルモンが少なくなると新陳代謝が低下するため体がだるく感じる、意欲が低下する、皮膚がかさかさするなどの様々な症状があらわれます。
治療により甲状腺ホルモンの量が適切になれば、症状は無くなります。
甲状腺腫瘍は大抵の場合、甲状腺の働きには影響しないことが多いので体調や精神状態に大きな変化はあらわれませんが、首が腫れる、違和感がある、声がかれる、首にしこりができるなどの症状があらわれることもあります。また、急激に大きくなる際などには痛みを感じることもあります。腫瘍には良性と悪性があり、腫瘍の大部分は良性です。
良性腫瘍の代表的な病気には、濾胞腺腫(ろほうせんしゅ)、腺腫様甲状腺腫(せんしゅようこうじょうせんしゅ)、甲状腺のう胞などがあります。
ほとんどの場合は、定期的な経過観察のみをおこないますが、腫瘍のサイズが大きい場合は排液や手術などの治療をおこなうこともあります。
甲状腺がんの代表的な病気には、乳頭癌(にゅうとうがん)、濾胞癌(ろほうがん)、髄様癌(ずいようがん)、未分化癌(みぶんかがん)、甲状腺リンパ腫があります。
前二者(乳頭癌と濾胞癌)は甲状腺分化がんと呼ばれ一般に進行がゆっくりであり、おとなしいがんです。緊急性はあまりないことが多いものの治療法としては、手術による切除が原則です。切除不可能な場合には、アイソトープ治療や分子標的薬治療、放射線外照射などの方法があります。
髄様癌は甲状腺の中に発生するがんですが、甲状腺の細胞そのものから発生するのではなく、C細胞という異なる細胞から発生する稀ながんです。
甲状腺リンパ腫は血液内科において抗がん剤治療が通常行われますが、その種類によっては手術で治療できる場合もあります。
未分化癌は極めてまれながら、最も予後の悪いがんとして知られています。かつては有効な治療法がありませんでしたが、現在では分子標的薬を中心とした集学的治療が行われ効果を上げています。